冨樫とエミネムを応援する日記

ほぼHUNTERXHUNTERの感想

 エンドレスエイト〜

神話が考える ネットワーク社会の文化論

神話が考える ネットワーク社会の文化論

理論としての軸が一本ガシッと通っているというわけではなく、これを読んどかなきゃ負けるって類の本ではなかった。多岐に渡る個々の内容は興味深いので気に入った箇所をつまみ食いして話のネタにしようかなぁという感じ。ローティによる公/私の分割はカントのと逆であるというジジェクの指摘を論じた所は特に引き付けられたので、もう少し丁寧にやってくれれば、と思った。というかこの部分の続きは読みたい。
 逆にひっかかったのはエンドレスエイト論の導入部分。

ネットの生み出したリズムは、これまでのを劇的に変えた 1
→ かつてアニメ作品の情報発信はもっぱらTVや出版によって制御されてきた 2
→ しかし、ネット出現以降、放映日と放映日の間ににも無数の発信(噂話、作品評、二次創作)が存在し、情報が氾濫している 3
→ EEは週に一度の発信という古いリズムをひたすら繰り返している=新リズムに違反している 4
→ ファンの消費の周期と異なり不評を買った 5

このまとめかたはどうかと思った。なぜならEEを支えていた、または存在を許したのは主に3の部分だから。具体的にいうならば2ch実況スレ、アニメスレ、それをまとめたニュー速vipブログのEE特集、saymove こうしたインフラと一体になって初めてエンドレスエイト祭は起こった。要はネットのリズムがエンドレスエイトを生み出した。







↑続々と作られるAAあってこそのEE
EE祭り→咲の池田祭り→→けいおん特定系へ(主に今日もやられやくまとめ)。どんどんネットをベースにした消費活動がおこってる。実際ボクはもうよほどの傑作じゃない限り、コメントや反応抜きに「作品だけ」をみるのは苦行になってきている。
 また5の部分も微妙に違うと思う。不評をかったのは同期ができなかったことよりも、二期の13話中8話を使ったことによる「もったいない感」が大きかったと思う。特にあの時は消失のアニメ化を期待していたこともあり、そういった不満から転じてアンチ角川等の言説が勢いを得たり等々…つまり、ハンターハンターが10週縛りで内容へのハードルを激上げしているのに近く、逆にサザエさんは8回同じ話をしてもそこまで評判を落とさないような話。あとDVDやBlurayが売れないのは、リアルタイムの祭り感に本質があったのだから、当たり前。各話異なる作監と演出の違いに着目して楽しめる上級者は1%きってるだろうし。
 なので、話を戻すとあえて古いリズムを体現したことで本題の観察対象をずらした(から評価する)に話を繋げるべきだったと思った。世間ではEEの評価は低いかもしれないけれど、あれは歴史に残ることをしたし、それだけのインパクトがあった(けいおん!!13話みたら連想しちゃうでしょ?)んだという姿勢にはまったく同意。新しい文脈を作りだすことはやはり凄いですよ。だから例えば桃華月憚とかもそういう点で評価しなければならない。