冨樫とエミネムを応援する日記

ほぼHUNTERXHUNTERの感想

 劇場版HUNTER×HUNTER 完全なる駄作 2013年  


公式サイト

 劇場版HUNTER×HUNTER〜緋色の幻影(ファントム・ルージュ)〜を観てきた。ヱヴァQ時に予告編に出会い、99%地雷であるとの確信を得た(同時に放映されたワンピースZの予告は良かった)。この作品は、一般向けのジャンプアニメ映画であり、原作ファンが求める内容とは違うものになるだろうと。なので、観賞前に「最大限作品を楽しむ/不本意な内容でも原作と切り離す」とセッティングを入念に行い、覚悟を決めて上映に臨んだ。

「ゴンの瞳が深く そして静かに冷たく沈んでいく…」隣の友人が気付いてくれたかは分からない。これほどの決意を持って映画を観賞したのは初めてだった。結果をまず言うと、それでも上映中に幾度か心が折れかけた。


 2回ほど真面目に途中退出を考えた。けれど、ノヴでも最低限のミッション遂行はしたのだと、ごくたまに現れる良ポイントを探しつつEDまでやりすごした。追憶編で衝撃を与えた「クルタ族の虐殺方法:向かい合わせに座らせ刻んでいく」は、正面スクリーンから逃れられない我々(観客)を示唆していた?など、全損な方向に思考がいってしまい「これは精神攻撃ですか」と錯覚するほど、結構本気でしんどかった。スタッフロールが始まった時は、真っ先に「これを書いたのは何処のどいつだ」と脚本家を探してしまった。米村正二さん。ポケモンデジモンアンパンマン・特撮モノと、ベテラン脚本家に違いないようだが、本作に関してはヌルすぎる仕事だったと、はっきり苦言を呈しておきたい。そして、スタッフロールにいる多くの関係者を眺めつつ一体ドウシテコウナッタ……と頭を抱えた。

 「クラピカ追憶編が劇場版へと連なる読切全63P、タイトルが「緋色の幻影」で幻影旅団の元4番・オモカゲが登場する。」劇場版への前知識はこの2点だけに留めていた。追憶編自体にも期待して叶わなかったが、「クルタ族虐殺の詳細」が知りたい身としては、本作で多少明らかになるとの期待もあった。しかし、詳細を追えば分かるように、劇場版は追憶編にインスピレーションを受けたオリジナルストーリーだった。原作に秘められた秘密が明かされる内容ではなく、あくまで番外編なのだ。


物語のキーマンはクラピカの親友・パイロ(CV.川島海荷) 看板に偽りアリ!


クラピカ両親がもっと見たかった

 例えば、本編のパラレルワールドとして割り切り、映画チーム独自の路線を突き進んだ場合(AIRとか)それはそれで興味深い試みだ。でも、本作はそうじゃない。それでいて、累計6300万部を誇る原作ファン以外に焦点をあて(冒頭にキャラクター紹介をするなど、一見さんを意識した作りだったのは間違いない)、本編の焼き直しをするなど、ひどく中途半端な内容だった。


↓以下ネタバレ↓



お前は熱をもたない闇人形だ →人形といえばキルア←全ての元凶

 映画テーマは、ゴン―キルアの友情物語人形の二軸体制。新キャラ・オモカゲ(CV.藤木直人)は、他人の記憶から人形を作り配下にするソウルドール(?)、対象と向かい合って眼球を奪うタマヨバイ(?)、作った人形を自身に取り込むドールキャッチャー(?)の念能力を持ち、妹・レツ(CV.平野綾)に合致する眼を探している。道中でゴルアと出会い友情が芽生えたレツに、ラストは刺されて終了する(昼ドラ的)。レツの物語は人形テーマの約1/3程度で、残りの大部分はキルアが担う。友情編+人形編にも登場するのだから(クラピカ編と謳った)宣伝と違いキルア作品になっていた。そしてこのイルミ―キルアで本編の焼き直しをしたことが、劇場版の決定的な誤りだった。パーフェクトに全てがいらなかった。

 肝心のクラピカは、ヨークシン編終了後という時系列なため復讐に操られた人形ではなくなっていた。そのため作品テーマに絡ませることが難しく、旅団もスパイスでしかなくなった。パイロはガチ空気に……こうして考えるとプロット時点で詰んでいた気がする。土台がダメではあとはもう無残なものである。。ここまで書いて相当消耗したので、残りはAAパワーなどを借りて箇条書き。

■はじまり1 回復☆☆☆
初端、キルアの回想。ここは映画屈指の名シーンだった。悪天候のもと行われる暗殺映像はすごかった。映画の成功を一瞬夢見させてくれたのだが……。

■はじまり2 ダメージ★

「ワシらを快楽殺人者とカンちがいしとらんか」 任務後のキルアと遭遇した子どもたち(なぜか雷雨の路地でサッカーをしている)を、イルミが惨殺。「おまえは友達を作っても裏切る」……いやいや、さすがにそこで友達にはならんでしょ。ゾルディック家の株が下がってしまう。

■飛行船 ダメージ★

歳相応のゴルア描写。旧アニメ版(ラジオ含)でもこんな感じだったのでそこはオーケー。問題は可愛いCAさんが、パーム(伊藤潤二)風に逆上したこと。最初の不自然な笑みでフラグが立っていたものの、すべっていた。

■追憶編再び ダメージ★★

パイロが登場し、タマヨバイをするとこは良かった。こうやって眼を奪うのか!ただ、その後の追憶編エピソードが原作の魅力が失われる簡略化で残念だった。緋の眼発動したクラピカがサッカーボールキックを繰り返すシーンにグラっときた。

■ウボォー登場 回復☆

「探したぜ」「あいつは……ウボォーギン!」「どうしてここに!?」←知り合いだったの!?そんな原作の矛盾をふっとばすほど、単純にウボォーさん登場に胸が熱くなった。ビッグバンインパクトが衝撃波を飛ばす技になっていたり、破岩弾が操作系能力になっていたのは逆に感心。この間出会って、ウボォー襲来の原因となったレツは可愛かったので◎

■ウボォーvsゴルア ダメージ★★★★

「まずは相手の力量をはかる」「堅(硬?)!」続く戦闘シーンには参った。まさかウボォーの拳をあえて受けるとは。それも習得していない能力を使って……。強さ議論スレに暴動を起こしそうな矛盾の連続に疲れた。

■ノブナガ&マチ登場 回復☆

陰獣とパクノダを一網打尽にしたマチ(かわいい)、そして謎のノブナガ推しは、本作の数少ない良心。

■イルミドール登場 ダメージ★★★★★

もっとも辛かったシーン。ウボォーで墓を暴き(How?)うんぬんがあったので死体操作系かと思いきや、レツに入れた(オモカゲの)眼により、あっさりとイルミ人形を作成。あんまりだろう。館侵入時にドタバタと足音がしていたので「足の音消せや・・・丸聞こえだろが・・・」と呟き退出した女性ファンがいたとか。見事な護身である。実はキルアは消音していた気がしなくもないが自信はない。ちなみに目撃者の別の発言「ハードルだいぶ下げて見に行ったんだがなあ・・・小石ほどのハードルにつまずきおったわ」が面白かった。とにかくイルミ人形は最悪で、ゴンが服を針に刺され、壁にはりつけられるのだが、そんなの一般人でも千切れるよ!唯一の救いは、イルミにゴンの眼を奪わせフィットさせたこと。その発想はなかった。

■ガクブルキルアの離脱 ダメージ★★★★★

イルミの呪縛により、ゴンを見捨てて逃走。預かったハンター証を手に線路を歩いていると列車が迫ってくる。辛かったシーンNo.2。だから、脳に針を差し込まれてるの!それは20巻でとって解放されるんだ……なぜ映画で扱った!

■ラストバトル1 ダメージ★

パイロがあの柄を繋いだ木刀を構え、対するクラピカも木刀を!?鎖使いになってからも携帯してるの!?導く薬指の鎖はどこへ。

■ラストバトル2 回復☆

オモカゲのコレクションには団長の姿も。密室遊漁がでてくるのは予想外だった。矛盾よりこの瞬間は驚きが上回った。ベンズナイフごとコピーできて時間制限ないとかチートすぎる。

■ラストバトル3 ダメージ★★

バンジーガムがえらく単純な使われ方で拍子抜け。そもそも「原作でヒソカとの闘いにやぶれ、No.4の地位を奪われたとされるオモカゲ。実はその戦いはオモカゲの念能力によって仕組まれたものでした。」(プロデューサー談)←なぜ仕留めなかったと劇中で問われ、「あんな面白いやつをあっさりやったら勿体無い」と答えていたヒソカさん。しかし、オモカゲの念能力はチート級でも使いこなす賢さがなく、体術はゴミ。旅団では情報・処理部隊、あるいはコルトピさん的な役割だったのか知らないが、明らかに戦闘キャラではない。戦闘狂の獲物には相応しくない。ところで、フランクリンのダブルマシンガンを木製の柱で防げたのは、周で強化してたとでも()

■ラストバトル4 ダメージ★★★

「基本はキャラたちと相談する感じでやってますよ」ハンターの基本はキャラのかけあい。「キャラ同士がそいつらしさを守った上での最良の一手をボケツッコミみたいな感じでバンバンかぶせていく」「全員が死力を尽くしてる感じを大事にしたい」「作中では省略されていても、ある展開になるまでの経緯をキャラ同士に話させ検証する」――ヘタッピマンガ研究所Rより。こうしたこだわりが、劇場版にはあったのか。「旅団とみなしてチェーンジェイルを使う」「強制絶になっても、オモカゲの念能力でできたレツは動ける」「クラピカと旅団一同が対面」など、決定的シーンに??がつく。それぞれきちんと説明できるような論理があればいいのだけど(やりようによってはいけなくもない)、前述のような検証に裏付けされた真剣さが伝わってこなかった。そして、ヘタッピマンガを読み直したら「ヒーロー戦隊モノ(のお約束)に子供ながら理不尽すぎるだろって思った」とあって、冨樫作品と米村作品の相性ェ

■エンディング 回復☆

ゆずの「REASON」は普通にイイ曲。新アニメでスルー気味なカイトも登場。劇場版第二弾はもう少し想いが込められた作品になるよう祈っている。