冨樫とエミネムを応援する日記

ほぼHUNTERXHUNTERの感想

HUNTERXHUNTER 軍儀の解説

 『「HUNTER×HUNTER」のキメラアント編が爆発オチを選んだ理由』というエントリーを読みました。はてなブックマークがたくさん付いていて概ね好評価でした。それを見てたら「意外と軍儀”の伏線が知られてない?」と心配になったので念のため本エントリーを書いときます。

 さて、「軍儀」とはハンターに出てきた独特のボードゲーム。キメラアントの王様・メルエムがどハマりしたことでいろいろな知見を得た、蟻編の鍵となる存在でした。読み手に対しても今後の展開を示唆していたとして、2011年夏にあるコピペが有名になります。

「一手目で右翼に弓を据え」=ゼノとドラゴンダイブ
「槍三本の即効を決める腹であろうが」=正面階段から突入の
ナックル&シュート&メレオロン・ゴンキル・モラウの三組(261話の最初)
イカルゴは正面突破3組ではなく後ろ(右へ行くので25巻84p)
「帥を孤立」=王だけ孤立させました
こちらは二枚駒を失うが」ピトー、ユピーが死にました。
そして狐狐狸固は死路ということは、キメラアント側死亡確定。
あとは戦局のトドメ。狐狐狸固決めの一手「中将新」の存在がまだわからないらしい

 これはmixiのハンターコミュに投下されたもので、vipを経由して2ch本スレへと広まりました。丁寧に読み返すと一部強引な部分もあるものの、だいたいあっています。すなわち「孤孤狸固(離隠)」という帥を孤立する作戦、そこから槍三本に対して中心に中将を置く「中中将」という手が無限の攻防につながる(互いの読みの力を試す)戦法として流行したが、中将新を打つと詰んでしまう死路だと判明――これはまんまネテロ率いるハンター一同vsメルエム&護衛軍戦なわけです。

孤孤狸固からの中中将(23巻P184)

コムギの解説(23巻P187)

ネテロ戦に生かされた軍儀(28巻P131)
 コムギと対局することで予知のごとき先見を可能にしたメルエムは、ネテロとの無限の攻防を制するものの、中将新(薔薇)でやられてしまいます。冒頭のエントリー的にいうと爆発オチですね。しかし、実際にはそこからもう少し話は続きます。薔薇で死にかけたメルエムは、ユピー&プフの栄養をもらうことでパワーアップ。蟻(王)・完全体になりかけますがウェルフィンが「コムギ」と発したことで人側へ覚醒します。そして残された僅かな時間をコムギと過ごすことに。

孤孤狸固が蘇る(30巻P133)
 対局がスタートすると、コムギがとった戦法はあの孤孤狸固。「この先、見せてみよ!」と中将新を打ち込む王に対し、「忍」を動かすことで路が生きる……! さらに王が逆新手で応戦…!! さらにさらにコムギが逆荒手返し!!! というようにかつてない充実した時が流れます。

路が生きた……!!(30巻P134-135)

(´;ω;`)ブワッ(30巻P134-135)
 「軍儀を通して蟻から人へ。蟻と儀。虫から人へ。」これは熱心な読者の間では周知のフレーズです。32巻、選挙編のラストでもメルエムとコムギが手を重ねたシーンが出てきます。その脇には、帥と忍のコマ。つまり、中将新(薔薇)で詰んだはずの帥(メルエム)忍(コムギ)によって活路が開き、「この瞬間のために生まれて来たのだ」と納得することができたのでした。
 こういう基本的な流れを抑えていくと、やっぱり「爆発オチを選んだ」などとは(エントリーの大筋には同意するとしても)かなり言いにくいし、納得してる人が多いようだと(´・ω・`)となります。



(32巻P183)


関連エントリー
虫から人へ。「ハンター×ハンター」蟻編、8年超の歳月をかけて完結。:マンガがあればいーのだ。
「ハンター×ハンター」アリ編が超感動的だった件:ヤマカム


 以下適当。


 何度か書いてますが、僕は蟻編は冨樫先生が自身最大のテーマ「人間考察」(幽白の黒の章の延長)に挑戦した“第1弾”だと思っています。「レベルE」のマクバク族を継承したキメラアントという圧倒的外部(寄生獣のパラサイト、エルフェンリートにおけるディクロニウス)を描くことによって「人って何?」的な問に答えようとした。悪意(薔薇)>進化(王)>自己犠牲(ネテロ)といった行動原理の強度も示しました。

 ただ、悪意についてはまだジャブの段階。本番は暗黒大陸編」「ジャイロ編(仮)」でやってくると思っています。「暗黒大陸編」は今のとこ、やはり「レベルE」から連なる“王位継承”バトルロイヤル、退場フラグが立ちまくりのジンvs初めて本気で人を嫌いになれそうなパリストン、一瞬で一流悪役になったツェリードニヒ&クルタ族拷問の理由が明かされそうな幻影旅団vs十二支んになったクラピカなどなど超絶興味深いカードばかり。

 昨夏の実家情報によるとガチの病気だったぽい冨樫先生ですが復活を心待ちにしています。


関連エントリー
HUNTERXHUNTERの2ch人気が凄まじい件(2012年3月 暇人の集大成的なもの)
ジャンプ感想 33号(2011年7月 蟻編終盤再開前の予想)
ジャンプ感想 21・22号(2010年4月 悪意、カール・シュミットの友敵理論に関する考察)