冨樫とエミネムを応援する日記

ほぼHUNTERXHUNTERの感想

 民主党マニフェストは凄いけどヤバイ

民主党が約束する99の政策で日本はどう変わるか?

民主党が約束する99の政策で日本はどう変わるか?

やっと更新。今日(21日)は解散ですね。
 この本が非常に優れている(各種政策を整理・俯瞰することによって民主党が掲げる理念・目指している国のカタチを明らかにしててマジオススメ)ので、選挙前に買って読んで考えてね!と書いても多分2人しか実際にやってくれないだろうから、大事っぽいところを記しておくよ。 
※本にあるのは2009年6月20時点での政策なので、選挙直前になって変更がある可能性アリ

  • 民主党の基本理念は「オープン&フェアネス」

↓の五個のキーワードに代表される

1情報公開(ディスクロージャー
2公正・公平と機会均等(フェアネス)
3安心・安全〔セーフティーネット
4地方分権ローカリゼーション
5包摂と参加(インクルージョンとパーティペーション)

情報を公開し、あらゆる制度の透明性を上げ、公正さを確保する。そのために多くの市民の政治や地域社会への参加を促していく。一般人1人1人により大きな自己決定権をゆだねると同時に、今よりも重い役割分担と責任意識を求めていく。 そういう「カタチ」にするんで、めんどいと思う人もいるだろうけど、ひとつよろしく!と。

  • 生活編

・こども一人当たり毎月2万6千円支給
所得制限なし!中学卒業まで全員一律!現在は所得制限に加え、三才までは月1万、その後は月5千、三人目から月1万なので、大部変わる。09年度補正予算が実施される前の段階で、日本の子育て給付金(こども手当、育児休業手当等)の総額はGDP比1.2% この政策を実施してようやくOECD加盟30ヶ国の平均2.2%に追いつく。それでも仏3.8%、英3.6%に比べると低い。
子ども手当:子なければ負担増 民主がマニフェストで説明 - 毎日jp
はてブの反応頭悪い
・出産時に総額55万円を助成
現行制度では35万円(補償制度分を含めると38万。09年10月から42万)。一般には分娩、入院費、検診等トータル50万かかると言われてる。
・公立高校は無料、私立高校にも助成金
高校に通う子供がいる家庭には、一人につき3年間で35万。私立の場合は最大70万の就学支援。私立に関しては所得制限あり。※OECD加盟30ヶ国中、高校の授業料が無料でない国は日本、韓国、イタリア、ポルトガルの4つ。日本も署名している国際人権規約子どもの権利条約では、高校の無償化が義務づけられていたりします。現在留保しているのは日本とマダガスカルの二ヶ国。公教育支出を対GDP比でみると日本は3.4%でOECD最下位。民主党はこれを5%にする模様。
asahi.com(朝日新聞社):民主、来年度から「公立高無償化」 学費分12万円支給 -
国際人権規約/高校・大学の学費無償化条項/留保 日本など2国だけ
教育委員会は廃止し、地域の学校理事会を創設
実現したらパない。文科省の権限を事実上とりあげ、大半を地方に移管する方針。地方分権と連動。もちろん国としての最低基準・基本方針は必要とのことで、中央教育委員会(仮称)を設置しグランドデザインを設計するけど、基本的には地方自治体(の中の学校理事会)にゆだねる。各地方自治体は、教育委員会に代わって「学校理事会」を設置しなければならない。理事会は地域の住民と生徒の保護者で過半数、残りは学校関係者、専門家等で構成し、学校の運営方針、カリキュラム、人事など学校運営に対して強い権限をもつ。
・学習指導要領も廃止、教科書検定は地方レベルで
学校理事会とあわせて。相当自由になるから、みんながしっかりしないとヤバイ。偏った学校が増える可能性大。長い目でみれば、変なのは「淘汰」されるかもしれないけど、テラギャンブル。
・年金を一元化し、消費税は全額年金財源に
国民年金と厚生年金の一元化/消費税を財源に最低年金を保障/二階建て(最低年金に上乗せされる分)は所得比例。今までやってた現役世代が受給世代を賄うシステムは、人口ピラミッド崩壊に伴い限界突破。なので払ってた人なら誰でも最低限(月7万程度)もらえ、後は自分が払った分がかえってくるという方式にかえる。業務は社会保険庁を廃止し、国税庁と機能を統合した「歳入庁」が担当。未納や未加入に対しては今まで国税庁が蓄積してきた税徴収のノウハウでもって厳しくやっちゃう予定。
医療保険を一元化し、後期高齢者医療制度は廃止
社会保障番号制度の導入
社会保障の負担と給付を一元的に管理するため、国民1人1人に固有の番号を割り当てる。統治権力による監視・管理は強まることになる。ただ乗りがしにくくなる。
・年齢差別の禁止
雇用の機会均等を確保するため、募集・採用における年齢差別を禁止する。罰則も設け実効性を高めるとはいうけれど。
最低賃金を全国平均1000円に
2000億かけての中小企業支援とセットで実施。実はOECDの平均と同じレベル。日本は平均賃金に対する最低賃金の水準が極めて低い。28%(最低/平均)の日本より低いのはOECDではトルコ、韓国、メキシコくらいとか。
ただ単純に考えればこうなる↓大丈夫かなぁ。
痛いニュース(ノ∀`):民主党 「最低賃金を時給1000円(全国平均)にします」…マニフェストに明記へ
・医師の数を1.5倍に
70年代の医学部新設ラッシュにより医師過剰が危惧されたため、1984年以降、医学部の定員は暫時減らされていった。結果、日本の医師数は人口1000人当たり2.1人。OECD平均3.0を目指し、医学部の定員を増やし、編入・奨学金制度などを変える。それでも10年くらいは少ないまま。つかマジで病院こみすぎ!
不妊・生殖医療の保険適用と解禁
現在では一回当たり1〜2万かかる人工授精、30〜40万の体外受精、40〜50万の顕微授精には保険が適用されていない。年間730万未満の世帯には10万×2の助成があるとはいえども、毎年66000人が平均10回の人工授精をしていることを考えるとカバー率は低い。現在、生殖補助医療に関する法律はなく、日本産科婦人科学会の自主規制に頼っている。
・加工食品に原産地表示を義務づけ
食品業界は泣くかも。

  • 政治編

・企業献金は全面禁止、個人献金には税額控除
見返りの期待が前提になっていた企業献金を禁止することで、政治を浄化。所得控除だった個人献金を税額控除(年間5万まで)にすることで献金を大幅にしやすくする。サポートしたい政治家に納めるか、国に税金として納めるかを決められるようになる。実施しようとしたら財務省はキレるだろう。
国会議員世襲禁止と自治体首長の多選禁止
民主の定義する世襲は「現職議員の引退もしくは死去に際して、その選挙区から三親等以内の親族が立候補すること」 現在の衆議院議員では自民108/308 民主16/116 全体131/480 が世襲議員。ただし、同じ挙区からでてない人もいるので、民主の定義だとならない人もいる。
世襲はフェアネス(機会均等)に真っ向から反する。国のために働きたいと考える志のある人々の機会が、二世・三世によって損なわれては大問題。
・100人超の議員を内閣に送り、官僚依存体質から脱する
与党=内閣のイメージ。官僚主導の政府と、政治主導の党という二重構造は、政策立案における透明性を欠く。族議員の跋扈を許した反省の上に立っているとか。国会本委員会での答弁は政治家に限定されるようになる。
・インターネット選挙の全面解禁
・成人年齢と選挙権年齢を18歳まで引き下げる
暇な方が選挙いくと思う。
永住外国人地方参政権を付与する
前書いた通り大賛成だけど、マニフェストから外れる可能性大
・国家公務員の人件費を2割削減
人口1000人あたり42.2人の日本は英米独の70〜80に比べるとはるかにすくない。それでも、現行の制度が抱える国と地方の間の膨大な重複が大きな無駄を生んでいるとし、地方分権の実施と併せて。
・予算の総組み替えで政策財源を確保

【自民党ネットCM】プロポーズ篇
定番になっている「で、財源は?」に対し、予算の総組み替えで十分に捻出できるという民主党。日本政府の予算は一般会計(審議する)と特別会計(しない)がある。よくいう国家予算80兆(幽遊白書でいう66兆2700億)は一般会計。それと別に08年度では178兆円と、一般会計を大きく上回る特別会計がある。二つを合算し重複分を除くと212兆だったこの額を、国の一年間の予算として、その内訳を組み替えるというのが民主党の財源論。新規で実行する政策ではMAX20.5兆円(消費税の年金充当5.8兆、農家の戸別所得補償1兆、高速無料1.4兆、子供手当5.3兆、医療改革1.9兆、中小企業対策2.5兆、道路特定財源暫定税率廃止2.6兆)の財源が新たに必要となるが、その分も212兆から無駄を省くこと(具体的なやつは省略)でいける試算 らしい。実際には「やってみなければわからない」が、一回やってみてほしい。
特別会計は原則廃止
「母屋でおかゆ、離れですき焼き」by塩爺 霞ヶ関埋蔵金(国が行った事業によって生じた余剰金が各省庁でプールされてるってやつ)の温床ということで。無くしたらなくしたで何かのバランスを失うことは確か。
日米地位協定を抜本的に見直す
起訴前の身柄拘束で話題になったアレ。アメリカ的には「日本は自白の強要や非人道的な取り調べをするし代用監獄とかあってダメだろ。」 
国連決議で集団的自衛権の行使も可能に
国連決議を必要条件にいれる。
・日本を300の基礎的自治体に分けて権限委譲
外交、防衛、危機管理、治安、食料、エネルギー、教育と社会保障の最終責任、通貨、市場経済ルールの確立等以外の機能は全て、区切った基礎的自治体へ。理想は30万×300。小選挙区をイメージすると良いかも。当然都道府県はなくなる。道州制なんていうレベルじゃねぇ。これは国のカタチが根本から変わる。理論的には筋が通っているけど、一体どうやって人が移っていくのかみものでござる。
・三年以内に高速道路を無料に
6年前のマニフェストにのせて以来、ある意味民主党を代表する政策。
ETCは何だったのかしら、と。
asahi.com(朝日新聞社):首都高・阪神除き高速無料化 民主公約、来年度から実施 -

  • 経済

・全国民が確定申告を行い、納税者の権利と義務を明確にする
源泉徴収制度は楽だけど、いくら納めてるのか自分ではわからなくなるので、それに見合った行政サービスを受けているかを考える基準すらもてない。また、確定申告を含めた税制を納税者に分かりやすいものにしようとする動機が働かず、結果的に制度が複雑化している。
・徴税機能強化のため歳入庁を設立し、納税者番号制度を導入する
社会保障番号制度とあわせて。。不正は見逃さないという政府がやらかさないよう見張る必要が増す。
・所得控除をやめ、給付付き税額控除を導入
くわしくはググって。再配分の強化政策。
・大企業の法人税率は維持、中小企業の税率は半減
・農業者戸別所得補償の実施
2年前の参院選で農村票を根こそぎ奪った公約。農家に対し、販売価格が生産費を下回るとき、その差額を政府が補償する。セーフティーネットにちかいが、ばらまきとも言われる。

  • 市民編

・取り調べの可視化を実現する
取り調べの全過程について録画や録音などによる可視化を義務づけ、公正で透明性の高い犯罪捜査が行われるよう刑事訴訟法の手続きを改革する。反対する理由がわからん。
代用監獄制度の廃止
原則人権が保障される刑事施設に勾留することになっている被疑者を留置所に最大23日間とどめることのできるアレ。
国籍選択制度を見直し、二重国籍の容認を検討する
難民認定制度を改め、難民保護に関する法律を制定
2008年の難民申請者は1599人で認定57人。対する年数千〜3万の欧米。認定業務を法務省入国管理局から切り離し、独立した第三者機関として内閣府外局に設置する難民認定委員会に移管するとのこと。
・人権侵害を救済するための機関を創設
・記者会見は記者クラブに限定せず、オープンにする
既存の大手メディアにとってはメリットなし。しかし、オープンにすることによって、政府の情報操作は
圧倒的にしにくくなる。
・電気固定価格全量買い取り制度で再生可能エネルギーを推進
再生可能エネルギーによる発電量の全量を電力会社が買い取るよう義務づける。決まった価格(固定価格であり多分高め)で必ず購入して貰えることで大きなインセンティブになり、シェアがのびること確実。
ドイツやスペインが風力発電量を飛躍的にのばしたのもこのおかげ。長期的にみれば確実にメリットがあるだろう。普通にやれよと。
戦後責任を明確にし、戦後処理問題の解決に取り組む
国会図書館恒久平和調査局を設置することを提唱している。



とりあえずこのくらい。まだ半分以上残ってるけど、あとは本へどうぞ。

 全体的なポイントとしては「自民がダメだから民主にやらせてみろ」ではコケる可能性が大いにあるということ。「お上がやってくれるよ」ではうまくまわっていかない。「民主党に政権を与え、自分も新しい国づくりに参加しようかな」という意識がないと民主党政権はあまり機能しない。

 基本的に戦後は冷戦構造下における経済成長至上主義という選択肢しかなく、それが確実に国民の幸福につながっていた。だから官僚にまかせて、あとはそれを効率よく実現する方法を考えてもらってればよかったけど、その「奇跡」の時代は終わり、冷戦崩壊&グローバル化やらなんやらで、国の針路や、多様化した国民のニーズに優先順位をつけることが必要になった。市民の付託を受けていない官僚機構にはそれができない。そこで本来の政治の出番となって、民主党は国民の参加を求める政策を打ち出してきた。コミットしてくださいと。

 「この国はいい加減、誰かが何とかしなければいけない状態に来ている。」と傀儡廻が言ってたように、実際10年・20年後の日本を冷静に予想してみると「ニート・失業者が増えてる→彼(女)らに子どもができる→親の働く姿をみたことのない子どもがでてくる。」とか洋画で描かれている光景がガチででてくる気がする。そうすると当然治安は悪くなる。

SWEET SIXTEEN [DVD]

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「かつては○○だった」で想定される60年〜バブル終了までの30年位は世界的にみたらホントに有り得ないくらい上手く回っていたかもしれない。今はその時のなごりがあるので、このままでも何となく平和に生きていけるんじゃね?と思いがちだけど(まぁ大企業行ってる奴は基本大丈夫)全体でみると確実にジリ貧になっている。もうちょっと何とかなんねーかなーと思ってる方々は「既得権益を潰し再分配するためにミサイル撃ったセレソンNO.10に賛成する」よりは、各党のマニフェストをざっと調べて(新聞がこれから書いてくれるはず)選挙に行ってみたらどうですか。

 アメリカなんてオバマになったらガチでいろいろ変えようとしてて凄いよ。↓
asahi.com(朝日新聞社):G8「核なき世界」へ協調 来春、米で核サミット